締切9月7日 víz PRiZMAモデル会員募集中 

急に涼しくなり、急いで衣替えをされた方も多いのではないでしょうか? さて、本日は改めて、柿田京子よりvíz PRiZMAモデル会員募集をご案内します。

each toneの1stブランド「víz PRiZMA」では、いま「モデル会員」を募集中です。

「モデル会員」とは、víz PRiZMAの広報活動にご協力いただく会員さま。サービスを体験しながら、その感想をインタビューで語ったり、藝術ワークショップで創る作品を披露したり、また、コミュニティ活動の様子をレポートいただいたり。each toneホームページをはじめ、web記事、動画、写真など、各種PR活動のフロントラインに立っていただく予定です。ちょうど、雑誌の「読者モデル」をイメージしていただければ、わかりやすいかと。

今回のモデル会員には、通常55万円(税込)の入会金を100%OFF。サービスへ完全ご招待します。広報活動へのご協力は、2022年12月末までですが、ご協力終了後も、víz PRiZMA会員として、サービスを受け続けることができます。

アーティストと共に、想いをこめた作品を創る「藝術ワークショップ」、作品をデジタルアートとしてバーチャル空間に飾る「ギャラリー」、思い出のデータを未来へ届ける「タイムカプセル」、藝術活動にふれながらより良く生きるを楽しむ「コミュニティ」、斬新なサービスに触れながら、感じたことを世界に発信してみましょう。

おそらくvíz PRiZMAの歴史の中で、100%OFFは今回だけでしょう。サービスリリース記念企画!each tone サポーターのみなさま、víz PRiZMAファンのみなさま、気になる方はぜひエントリーください。

詳細は、こちら⇒ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000076447.html

エントリーは、こちら ⇒ https://forms.gle/ddd92n4vrAdte6ng9

締切は9月7日。もう少しだけお時間があります。たくさんのみなさまのご応募をお待ちしています。

「価値」の“魅せ方”

小学生の社会科で、「財とサービス」という言葉を習いました。人の欲望を充足させるものとして、おおまかに分けるとそれぞれ、有形と無形の価値を持つものとされています。よくよく調べてみると、さらに細分化されます。私は双方の要素を兼ね備えたものもあるなと思うのです。

例えば、絵画作品を所有している場合はどうでしょう。「財」としての有形の美術品の所有権はもちろん、他方で絵を飾ることで、室内が華やかになるとか、雰囲気が変わるとか、無形である「体験」のような「サービス」的要素も感じるのです。そして、この価値は受け手によっても意味を変えます。

バンジージャンプというアトラクションがありますよね。景観の良い橋の上などから谷間の渓流に向かってジャンプするとしたら、ある人はそれに対価を支払い、その「体験」を得ます。
しかし、またある人はそれを罰ゲームだと捉え、こんな危険な行為はあり得ない、と敬遠することもあります。

見せ方・魅せ方を変えることにより、価値観を変えられる場合もありますよね。

スティーブ・ジョブズは携帯音楽プレーヤーであるiPodを売り出すときに、そのデータ容量性能の表記を「ギガバイト」ではなく「1000曲」という、ユーザーに解りやすい単位で魅せました。

ディッシュウォッシャー(食洗機)を売り出すとき、「家事が楽になりますよ」では購入者が怠惰なイメージをこうむってしまうおそれがあるので、「手が荒れませんよ」として売り出しています。

良い商品やサービスが開発できたとき、それをどう魅せるか、どうお伝えするか次第で、その「価値」が大きく変わることを強く実感する毎日です。

仮にインターネットが当時存在したとして、馬車の時代に、T型フォードを、もしwebライティングやランディングページの手法を使ってで売り出したとしたら、どんな魅せ方をするのかな、なんて考えております。

each toneの1stプロジェクト「víz PRiZMA」。
まさにそんな、全く新しい価値のご提供になると思います。
とても奥深い多様な要素を持つ本サービス。どの様にお伝えすべきなのか。
今回も下邨尚也が、想いを綴らせて頂きました。

引き続き、「víz PRiZMA」にどうぞ、ご期待ください。
https://www.viz-prizma.com

或る展覧会のためのエスキース

或る展覧会のためのエスキース

お盆が終わって、会社から自宅に帰る時分の夕風に、少し涼しさを感じる様になってきました。

早いもので、会社を立ち上げてからもう8ヶ月。有り難いことに様々なご縁に恵まれ、非常に多くの方々とお話しする機会を、日々頂きながら、仕事をしております。
皆様に励まされ、アイデアを頂戴し、強い共感を貰っては、時に窘められる。この居心地の良さはなんなのだろう? と考えたときに、気づいたのです。この積層されていくコミュニケーションは、作品制作に似ていると。

初めてお会いする方を注意深い視線で観察して、その方を知り。
お話をする限りでは知り得ないお人柄は、美術解剖学のようにその内的世界を想像し。
次の会話のトピックはどんなものがご一緒に楽しい時間を過ごせるかとエスキースを思い浮かべ。
精一杯のおもてなしで、支持体に顔料を重ね。これは失礼しました、と白く塗りつぶす。

その度毎に出会う方と、最高に素敵な出会いの瞬間という展示に向けて、試行し対峙し続ける様は、恍惚以外の何者でもないのです。

やはり私は、制作が、そしてなにより人が好きです。

今週のエッセイは、下邨がお送りいたしました。

お盆に想う

夕焼雲(撮影:柿田京子)

お盆です。帰省して、故郷で家族・親戚一同で集い、ご先祖様の精霊をお迎えするこの時期。コロナ感染が全国に拡がり、帰省もままならぬ状況ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? 都会での忙しい日々、お盆であることすら忘れてしまいがちな方もいらっしゃるかもしれません。きょうは、柿田京子が自身の子供時代にさかのぼり、お盆の思い出を語りたいと思います。

紀伊半島三重県。伊勢神宮をもう少し南へ下り、伊勢志摩の「志摩」と呼ばれるエリアに、私の父の故郷はありました。リアス式海岸の入り組んだ奥の入江。海苔や牡蠣の養殖が行われ、背後には、ミカン畑が広がるなだらかな山が迫り、山海両方の幸に恵まれた、温暖で風光明媚な、ひっそりとした田舎です。

家々の間に田畑があり、当時はまだ開墾用に牛がいて、休耕地で草を食み、ウモォ~と、のどかな鳴き声をあげていました。カブトムシ、クワガタ、セミ、そしてホタル。子供たちの気になる生き物はふんだんにおり、時々、畑の作物目当てで、イノシシ、サル、シカなども現れました。

このような田舎で過ごすお盆は、小学生の私にはまさに非日常。迎え火を焚き、盆提灯をつけ、きれいに飾られた仏壇に手を合わせ、年長の従兄たちから「この世から旅立ったご先祖さまの精霊が、お盆にはここに帰ってくる」という物語を粛々と聞き、みんなでその世界観に浸りました。

お会いしたことのない「ひいおじい様やひいおばあ様が、すぐそこで見ている」などと言われて、ものすごく緊張して、怖くて夜の廊下を歩けなくなったり。「ご先祖様は、子孫には決して悪さはしない」と言われて、ほっとしたり。

この村でも、戦時中にはほとんどの成人男性が駆り出され、南方で玉砕したそうです。高齢者と女性・子供だけでその後を乗り切ったこと、子供だけ取り残された家も多くあったことを聞き、やむなく旅立つしかなかった人々も、ここに戻ってきて、今一緒にいるのかと、想いを馳せたり。

人間の想像力は果てしなく、夕焼けが夜の闇に代わりつつある空を背景に、オレンジ色に灯された送り火を見ながら、精霊たちがあの世へ帰っていく姿を、私は自身の心の中に焼き付けたのです。

人は、記憶の世界に生きているのかも知れません。あるいは、記憶に根付いた想像や幻想の世界に生きているのかも知れません。この世から人の命がなくなっても、その人を大切に想う人の記憶の中で、「存在」は生き続けます。そして、その存在は姿がないまま、まだ生きている人々を癒し、勇気づけ、明日へのエネルギー源となっていたりするのです。そのような大人たちをたくさん見ながら、私は大人になりました。いつしか、かつての大人たちがいなくなり、それでもその存在は、私の記憶の中で消えず、衰えず、時折全く思いがけないひらめきやエネルギーなって、今の私を支えてくれたりします。

とうの昔に、牛はいなくなり、耕作はすべて機械に。田舎でも核家族化が進み、親戚一同が集まる機会はほとんどなくなりました。ホタルも珍しくなりました。今でも、迎え火は焚かれているのでしょうか? 時代とともに移りゆく伝統としきたり。庶民が何気なく受け継ぎ、生活の中で伝え続けてきた身近なヘリテージを、形は変わっても、その想いは、未来へつなぎ続けたいと思います。

each toneの1stプロジェクト「víz PRiZMA」(https://www.viz-prizma.com)には、幼かった私を育んだ、日本の風土が流れ込んでいます。

「想いを込める」ということ

暑い日が続きますね。皆さま、お変わりございませんでしょうか?
今週の投稿は、ワクチン接種2回目を終え、39℃近い副反応による発熱をかかりつけ医に報告しましたら「若い証拠!」とお墨付きを頂いた、下邨尚也がお送り致します。

each toneの1stプロジェクト「víz PRiZMA」の説明会を月に数回の頻度で行っております。「víz PRiZMA」では、会員様が他界後、ご遺骨の代わりに、ご自身がつくられたアート作品と瞳(虹彩)由来の生体アートを掛け合わせた作品を、ブロックチェーンを掛けて後世に伝えるサービスを一端としております。
この、ご自身でつくっていただいたアート作品に「想いを込める」作業をしていくわけですが、この部分、なかなか解りづらいかも知れませんね。少し例示しながら、説明させてください。

ふたつの石ころ
下邨があるギャラリーを覗いていたときのことです。作家さんのお名前は残念ながら失念しました。作品には、「ふたつの石ころ」が飾ってありました。文字通り、石ころです。この作品は、なにを表現しているのでしょうか?
ギャラリーのオーナーにお話をお聞きしたところ、この「ふたつの石ころ」はそれぞれ、北極と南極から拾ってきた石ころなんだそうです。それが、今、物理的な距離を越えて、このひとつの作品の画面上に同時に存在している。みなさんはどうお感じになりますでしょうか?

著名人のサイン
これもよくありますよね。「握手してください」とか「サインいただけますか?」とか。渋谷なんかで見かける落書きにはなんの価値も感じず、むしろ迷惑行為なのに。とある人が書いたものには、とても価値を感じる。
もっというと、ご自身のお子様が生まれて初めて自分で書いたお名前の文字には、感無量ですよね。こんな経験、思い起こしてみると、どなたにもあるのでは無いかと思います。

認め印
脱ハンコの議論も偶にニュースになっておりますが。あの朱の印影も、あれがあることにより「承認」や「自筆」の証明になるわけです。ご本人がその場にはおらずとも。考えてみると、不思議にお感じになりませんか? PCや高解像度のカメラがありますから、この現代において、その印影の複製を取ることは非常に容易です。で、それら複製を禁じたり、その真偽を証明するお役所書類があったりもします。
日本画家や書家が作品に押す「落款」がアートの世界でもあります。その意匠(デザイン)も含めて、ステキな文化だなと思う場面でもあります。

さて、3つの例を挙げてみました。
「想いを込める」という観点からまとめさせていただくと、これらの事例には、「発信者」と「受け手」が存在します。そこで「発信者」の意図が、好意的な「受け手」に受け止められると、非常に意味や意義が生まれ、また、価値を見いだせない「受け手」にとっては、それらは何でも無いわけです。
1つ目の例では、ある人はこれは「地球」だ! と感じ、またある人はただの石ころと感じ。2つ目の例では「肉筆文字」と「落書き」。3つ目の例では「意思表示」と「朱い汚れ」。

アート作品にも同じことが言えると思います。興味がないひとには、現代アートはただのガラクタですし、印象派の絵画もキャンバスの上に顔料が乗っただけのモノです。しかしそこ介在する「発信者」と「受け手」の関係性や時代、価値観や嗜好などが重なったときに、「込められた想い」が「伝わる」わけです。とても奇跡的な出来事だと感じるのは私だけでしょうか?

みなさまも、こんな体験をされてみませんか?
each toneの1stプロジェクト「víz PRiZMA」では、無料説明会を定期的に行っております。是非お気軽にご参加ください。

https://www.viz-prizma.com/briefing

【Artists Interview ~藝術の力を社会へ~】

Artists Interviewロゴマーク

当サイトの人気コーナー、リニューアルのお知らせです。
ロゴも新たに、【Artists Interview ~藝術の力を社会へ~】として毎月月末に掲載して参ります。

過去連載分はメニューまたは、下記からどうぞ。

【特別インタビュー 3】だれも見たことのない世界をデザインする 瞳の記憶を未来へ 「víz PRiZMA」ブランドづくりへの挑戦

会員制バーチャル墓地「víz PRiZMA」(ヴィーズ プリズマ)。今夏始動するこのサービスは、インターネット上で、「この世」と「あの世」をつなぐ。さらに、生前から他界、その後の遠い未来まで、このサービスが紡ぐ時は、人の一生よりはるかに永い。まだだれも目にしたことのない場所、時代を、どのようにデザインするのか? どのように表現するのか?

「víz PRiZMA」のブランドサイトのデザインをしたSHIMA ART&DESIGN STUDIOの小島沙織さんと島田耕希さん。そしてeach tone社 Chief Designing Artistの下邨尚也が、「víz PRiZMA」ブランドづくりへの挑戦を語ります。

小島・島田・下邨 写真
(左から)小島沙織さん、島田耕希さん、下邨尚也。
メインビジュアル

víz PRiZMAという世界観の構築

下邨 「víz PRiZMA」は、「瞳」(虹彩)から拡がる世界観でできています。ひとは瞳で世界をとらえ、自身の内なる世界を、瞳を介して世界へ発します。時として、目は言葉よりも雄弁です。瞳は、視力の有無にかかわらず、本質的な世界をとらえます。瞳(虹彩)は黒目のまわりのドーナツ型の部分ですが、その文様は、その人の独自性、唯一無二の存在であることを象徴する部分です。虹彩の模様は、成長過程で、まばたきなどでつくられるシワですので、DNA由来ではありません。よって、DNAが同じ一卵性双生児であっても、虹彩の模様は異なり、虹彩データは認証に使われたりするのです。虹彩のことを英語でiris(アイリス)と言います。アイリスは、ギリシア神話に登場する「虹」の女神の名前。虹は、この世と天界を結ぶ懸け橋で、アイリスは、ここを司っているのです。瞳(虹彩)は、まさに、この世とあの世をつないでいるといえるでしょう。

ブランドロゴタイプは、優美でありながら、力強さを強く意識しました。元となる欧文フォントは、「Optima」という特徴のあるサンセリフ体をベースにしています。「víz PRiZMA」というブランドネーミングが決まった瞬間に、このフォントが相応しいなと感じました。
ブランドカラーについては、上品に、けれども意志を強く、思い切ってモノトーンとして、少しだけ黒の濃度を落としております。彩度を持たせなかったという点で、皆さまの創造の余地を残し、且つ、どの様にも変容しないという二律背反した意味を含ませました。これは“偲び”や“祈り”という行為を強く意識したものです。創造とそれらの行為は、一見、類似性が高いように見えますが、思考のベクトルが、創造では外側に、“偲び”や“祈り”では内側に向いており、相反するものなのです。後者は非常に独自性が高く、ある対象に対して、個々がそれぞれ抱く強い感情であるからです。同じ理由から、「víz PRiZMA」はロゴタイプのみとし、ロゴマークは持たないデザインとしました。

このような、未知な世界観にあふれたサービス。お二人は、このお話をした時に、開口一番「興味深い」と仰ってくださいました。どの辺りを興味深いと思ってくださったのでしょう?

小島 「祈り」という行為にすごく興味がありました。私は普段から、西洋美術史を語る上で切り離せない「キリスト教」の勉強をしていて。信仰心が薄いとされる日本人が、どうやって「祈り」という場を持つのか。どうやって「死」に立ち向かっていくのか。そういったことに向き合っていくブランドのこれからに興味を持ちました。

下邨 音楽の発生もキリスト教の存在は外せないですよね。グレゴリオ聖歌とかもそう。

島田 僕は、みえるもの・みえないものにすごく思い入れがあって。みえないけれども感受出来る世界をブランドの視点を通して表現してみたいなと思いました。詩人・吉野弘さんの「眼・空・恋」という詩が好きで。「水晶体」をモチーフにしている詩なのですが、打ち合わせでお話しを伺ったときに思い浮かべました。あとは、虹彩を個人識別に使っているところにも興味をもちましたし、既存のお寺や墓地を否定するわけではなく、多様な選択肢のひとつとしてサービスがあることに共感しました。

下邨 ブランドサイトのビジュアルを生み出すことのご苦労や工夫ってありましたか?

島田 “偲び”や“祈り”という繊細なテーマに触れることの難しさを感じました。併せて、ブランドサイトとしての訴求性も兼ね備えないといけないなかで、2回目の打ち合わせで、下邨さんの「意志を伝えていくというよりは、ただ、そこにあることがいいのです。」という言葉を一番心に留めました。víz PRiZMAのロゴやサービス概念から、「水」「光」というイメージは早い段階からイメージしていまして、着地の「感情」から、どういった表現、形、色にしていくかを考えていました。

小島 行き着く先の「感情」は、二人の中で、シンクロ率がすごく高くて。島田の方でビジュアルを上げてきて、それが相応しいか私がジャッジしていく感じでした。

下邨 素晴らしいチームワークですね!

「自分を失わせる」ことにある、美しさ

島田 商業デザインの現場と違って、二人でやっている今はまるで、離れ小島に居るような感覚です。自分たちはデザイナーとしてこうだ! みたいな「デザイナー」の枠を決めずに、楽しいと思うことを好き勝手やっている感じです。

下邨 世間の方は、「私はデザイナーしています。」って申し上げると、ほぼ「ファッション・デザイナー」を思い浮かべられますよね。島田さんは離れ小島に移って、なにが違うとお感じになりましたか?

島田 仕事の関われる範囲が違いますよね。デザインチーム内の一スタッフとしてでは、制作しても、制作物を使う人の顔がみえない。僕は受け手の感情から逆算して作っていきたい性分なので、その人を知らないと、その人のイメージがつくれない。独立してからは、直接クライアントと一緒にお話できるような環境をつくれたことが良かったし、それを求めていました。自分のフィルターで相手の想いをいかに歪めずに伝えるかを意識しています。

小島 美術予備校時代からそうですが、「デッサン」の大切さをすごく感じていて。モチーフなり、人なり、対象を「観察」して、どう伝えるか。そこに、どういう「空気」「感情」があったかを伝えたいです。見たものをそのまま写し取るだけだと、それは対象の説明だけになってしまって。どうやって、その時の「雰囲気」まで伝えるかを大切にしています。

島田 同じものをみても、答えはひとつじゃないですよね。今日はそうでも明日は違う。その観察から僕らの場合は「自分を失わせる」ようにしていて。クライアントさんがどう感じているかを憑依させて、こういう表現がいいかも! と、提案しています。だから毎回テイストも決まっているわけでもなく、バラバラかもしれません。僕ららしいね、とはよく言われますけどね。

下邨 デザインって、制作物を納品しているようでいて、実は“発信者”と“受け手”の「人間同士の関係性」をつくっているのですよね。そこで、面白いなと思ったのは、テイストをクライアントにあわせつつも、お二人「らしい」仕事と言わせる兼ね合いはどこにあるのかなと。

島田 自分の美的感覚にそぐわないと思うものはつくらない、というのが僕たちらしさを貫いているのだと思います。

小島 そういうものを自然と選択しているのはあるかも知れませんね。私たちがなんでデザイナーをしているのかって、「美しい」と思うものがちゃんと日本にも残っていければ良いなと思っています。ビジュアル的な「美しい」ものだけではなく、感情や関係性も含めて「美しい」ものを大切にしています。

下邨 お二人はお仕事において、どの様に連携・役割分担されてらっしゃるのですか?

小島 島田と意気投合したきっかけになりますが、私は子供の頃から、ピエール・ボナール*の模写を続けていまして。浪人時代に島田とはじめて会ったとき「僕はエドゥアール・ヴュイヤール**が好きなんだよね。」と言われたのです。(*,** 共にポスト印象派とモダンアートの中間点に位置する「ナビ派」と呼ばれる画家。)この二人の画家は大親友でして。同じ審美眼を持つ島田とは、将来的にも同じビジョンを描けるなと。この人の目は間違いないなと思いました。学生時代に、グループワークの授業もすごく多くて。私はそれが苦手で。みんな美的感覚が違うのに、なぜ共同で制作しなければならないのだろう? と思って。でも島田とだけは、グループワークが出来ました。

ゆずらないこだわり

下邨 多様な価値観の現代、グループワークを通り越して、一緒に生きていかなければいけない世の中ですよね。その辺りのクライアントとのコミュニケーションを、お二人はどの様に関わっていけば良いとお考えですか?

島田 each toneのみなさんは、しっかり良いものをつくろうと思ってくださるから。それがよかったなと思いました。いろいろな意味で「ゆずらない部分」を持っているって、とても大切だと思います。

小島 クライアントさんにお願いされたときに、なるべくお話はお聞きするようにしています。けれども、「こだわり」がない方、「お任せするから、好きにやってよ」という依頼にはあまり応えない様にしています。例えばご予算の少ないクライアントさんとお仕事することもあっても、良いデザインのものをつくりたいんだよね! という方は嬉しいです。じゃあ、出世払いで! とか、物物交換で! とか。

下邨 「限られた“時間”」を共通の「こだわり」でご一緒できるのって、ステキですよね。すごく生きている実感がありますよね。

小島 デザイナーをしていて一番楽しいのは、様々な価値観の方、多種多様な職業の方、しかもそれぞれの「こだわり」を持った方とご一緒できること。すごく嬉しいです。

島田 そこでも、その方を「観察」して「こだわり」を探っていきます。だから、クライアントによりデザインを進めていく工程も時間もまちまちです。

下邨 お二人といつもお話ししていて思うのは、すごく「聞いてくださる」姿勢。だからこそ、こちらもしっかりお伝えしなきゃ、って毎回思います。すごく有意義な時間です。やはりアートの基本は「観察」がキーワードですね!

デザイナーという選択

下邨 お二人は、なぜデザイナーという職業を選ばれたのですか?

島田 今も目指してないかも(笑)。未だにデザイナーになろうと思ってない(笑)。社会的に、大人としてデザイナーを自称しているだけで、肩書きとか何者かを語りたいわけではないです。

小島 今やりたいことがたまたまデザインであって、絵も描くし、本も読むし。やりたいことをその時その時、ずっと保っているという状態かも知れません。とはいえ、私は将来の夢はずっとデザイナーでした。うちは両親も祖父も芸術家で。小さい頃から絵は好きでしたが、祖父の作品には勝てっこないなと子供ながらに意識して。彼は天才だなと。でも両親も祖父も、自身の作品のプロデュースはうまくなくて。観せることよりも作ることに熱中していたなと。それを私が代わりに伝えていきたいと。自分の周りのステキな人たちを紹介したい。それがデザイナーを志したきっかけかなと思います。

下邨 クライアントの依頼を細やかに「観察」し、その「ゆずらない」要望や「こだわり」を見いだし、そして、ご自身は「自分を失わせ」ながらも、反面、飽くなき「美しさ」の追求を怠らない。一見、矛盾する「意識」のような移ろい易いものを、お二人の関係性が上手に支え合って、だれも見たことのない世界を視覚化している。その背景には、クライアントの意志をより多くの人に伝えたいという気持ちがベースにある。そんなお二人が、víz PRiZMAのサイトビジュアルをしてくださったことが、すごいご縁だし、光栄です!

************プロフィール************

SHIMA ART&DESIGN STUDIO
小島沙織と島田耕希によるクリエイティブスタジオ。2016年に設立。ビジュアルコミュニケーションを中心に、絵・写真・言葉を用い、紙から空間まで媒体にとらわれない総合的なデザインワークを行う。また、個人としてもアートワークを行うほか、染織作家と共にテキスタイルプロダクトブランド「WARP WOOF 139°35°」を設立するなど、多角的な活動と表現を通し、創造と生活の美の術を探求する。

小島沙織|COJIMA Saori
Designer
1987年千葉県生まれ。2013年に東京藝術大学デザイン科修士課程を修了後、同大学デザイン科で3年間教育研究助手として勤務。2016年にSHIMA ART&DESIGN STUDIOを設立。

島田耕希|SHIMADA Koki
Designer
1986年埼玉県生まれ。2012年に東京藝術大学デザイン科を卒業。同年、イメージコンベイサービスに入社。2017年に退職し、SHIMA ART&DESIGN STUDIOに参画。

下邨尚也|SHIMOMURA Naoya
Chief Designing Artist
1975年東京都生まれ。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。印刷会社、デザイン事務所、フリーランスを経て、東京藝大DOORプロジェクト受講後、2021年にeach tone合同会社の設立メンバーに。

each tone合同会社
東京藝術大学DOORプロジェクト発スタートアップ。2021年設立。「アート思考」「デザイン思考」といった藝術的な発想で世界をとらえ、「アートプロジェクト」で社会課題を解いていく会社。目下、1stアートプロジェクトである、会員制バーチャル墓地「víz PRiZMA」(ヴィーズ プリズマ)をローンチし、オンラインサービス説明会など、精力的に活動中。

************連絡先************

【SHIMA ART&DESIGN STUDIO】https://shimaads.com
【each tone】https://each-tone.com
【víz PRiZMA】https://viz-prizma.com
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