コロナが全国的に猛威を奮い、日本全体では8人にひとり、東京では5人にひとりが、すでに罹患者になりました。我が家も、先週末から家族が罹患し、私も「濃厚接触者」として巣ごもりしているうちに、昨日から発症、「陽性」となりました。
症状が出ない方も多いそうですが、なんのなんの。39度の高熱に激しい喉痛。解熱剤を飲んでも飲んでも上がってくる熱の中で、「ああ、自分の身体がウイルスと闘っているなあ」と、不思議にも生きている実感、普段はあまり意識していなかった生命の底力が感じられるような気がして、体重を重力に預けながら「頑張れ」とつぶやいてみたりするのでした。
みなさんは熱がある時に、意外に「意識が冴えている」という感覚を持たれたことはありませんか? 熱でもうろうとしながらも、意識の一部分が研ぎ澄まされたように冷静に働き、ふだんありえないような閃きや思いつきが下りてきたりする。どこか「非日常」モードにスイッチが入った感覚です。ご経験のある方も多いのではないでしょうか? 危機的な状況になると、何かのスイッチが入る。生命は、もともとそういうふうに仕組みづくられているのかも知れません。そう言えば「火事場のバカ力」と言葉もありますね。
思えば、画期的なアイデア、ブレークスルーのヒントは、いつも危機的な状況と背中合わせで生まれてきました。「非日常」モードになると、「日常」では見えない突破口が見えてくる。絶体絶命のその先に、突破口がある。そんなふうにして、「奇跡」と言われるような事象を達成してきたいくつかの経験が、記憶の中にあります。「アポロ13」も、危機的な状況の中で、最後にブレークスルーを見いだしましたね。そんな感じです。
そう考えると、高熱が出て、図らずも「非日常」を体験できる今は、貴重なチャンスなのかも知れません。どんな閃きが出てくるのか、意識の中をさまよいながら、「わくわく」してきました。大いなる期待をもって、この待機期間を過ごしたいと思います。
世の中の罹患中の皆さま、どうぞお大事に。まだかかっていらっしゃらない方、どうぞお気をつけて。そして、医療関係者の皆さま、ありがとうございます。