「白」で塗ることの意味

皆さまは、「消しゴム」という道具をなににお使いでしょうか?
鉛筆で描いたものを消す道具でしょう、という答えももちろん正解。しかし、鉛筆や木炭で描かれるデッサンの場面では、もうひとつの使い方があります。それは、「光」を描くという使い方です。

様々な色彩が折り重なる水彩画や油彩画とちがって、鉛筆や木炭でおこなわれるデッサンでは、鉛筆や木炭の素材色である「黒色」と、描かれる「紙の色」しか使えません。ここでは、便宜上、紙は「白色」だと仮定します。そこに鉛筆や木炭の調子を淡くつけたり、グラデーションをつけたりして、無限の白と黒の段階をつくり表現していくのです。

そこで、消しゴムや練りゴムの役割はなにになるかというと、炭の粒子を除去することになるわけです。当たり前ですが、なにも描いてないところに消しゴムは掛けませんよね。つまり、「白色」に戻す作業は冒頭で述べた、「光」を描く作業になるわけです。

さて、ちょっと話題を変えます。

印刷においても、「白色」はとても特殊な色です。
勘の良い方なら、もうお気づきかも知れません。私は先ほど、「紙の色」を便宜上「白色」だと仮定しました。そう、「紙の色」は本当は「真っ白」ではないんです。それぞれの紙が特有の色を持っています。色紙はもちろんのこと、限りなく白に近い色でも、真っ白ではないのです。

皆さまがお持ちの、家庭用インクジェットプリンターに「白色」インクはありませんよね?
そして、「紙の色」も「白色」ではない。こんな時に、「白色」インクはとても重要なんです。

ここまで、なにを申し上げたかったかというと、一見なにも施されていないと思われるような場所にも、「意味」があるということなんです。

「描くこと」に意味があるように、「消すこと」にも意味はある。
「なにもない」ということにも、「なにも置かない」という意志がある。
「白色」にするにも、ここは「白色」インクを使ってください、というデザイナーの意図があるんだ、ということです。

身近なお菓子の透明なビニールパッケージデザインをよく見てみてください。「白色」インクが見つかるはずです。今週のエッセイは下邨尚也がお送りいたしました。

「想いを込める」ということ

暑い日が続きますね。皆さま、お変わりございませんでしょうか?
今週の投稿は、ワクチン接種2回目を終え、39℃近い副反応による発熱をかかりつけ医に報告しましたら「若い証拠!」とお墨付きを頂いた、下邨尚也がお送り致します。

each toneの1stプロジェクト「víz PRiZMA」の説明会を月に数回の頻度で行っております。「víz PRiZMA」では、会員様が他界後、ご遺骨の代わりに、ご自身がつくられたアート作品と瞳(虹彩)由来の生体アートを掛け合わせた作品を、ブロックチェーンを掛けて後世に伝えるサービスを一端としております。
この、ご自身でつくっていただいたアート作品に「想いを込める」作業をしていくわけですが、この部分、なかなか解りづらいかも知れませんね。少し例示しながら、説明させてください。

ふたつの石ころ
下邨があるギャラリーを覗いていたときのことです。作家さんのお名前は残念ながら失念しました。作品には、「ふたつの石ころ」が飾ってありました。文字通り、石ころです。この作品は、なにを表現しているのでしょうか?
ギャラリーのオーナーにお話をお聞きしたところ、この「ふたつの石ころ」はそれぞれ、北極と南極から拾ってきた石ころなんだそうです。それが、今、物理的な距離を越えて、このひとつの作品の画面上に同時に存在している。みなさんはどうお感じになりますでしょうか?

著名人のサイン
これもよくありますよね。「握手してください」とか「サインいただけますか?」とか。渋谷なんかで見かける落書きにはなんの価値も感じず、むしろ迷惑行為なのに。とある人が書いたものには、とても価値を感じる。
もっというと、ご自身のお子様が生まれて初めて自分で書いたお名前の文字には、感無量ですよね。こんな経験、思い起こしてみると、どなたにもあるのでは無いかと思います。

認め印
脱ハンコの議論も偶にニュースになっておりますが。あの朱の印影も、あれがあることにより「承認」や「自筆」の証明になるわけです。ご本人がその場にはおらずとも。考えてみると、不思議にお感じになりませんか? PCや高解像度のカメラがありますから、この現代において、その印影の複製を取ることは非常に容易です。で、それら複製を禁じたり、その真偽を証明するお役所書類があったりもします。
日本画家や書家が作品に押す「落款」がアートの世界でもあります。その意匠(デザイン)も含めて、ステキな文化だなと思う場面でもあります。

さて、3つの例を挙げてみました。
「想いを込める」という観点からまとめさせていただくと、これらの事例には、「発信者」と「受け手」が存在します。そこで「発信者」の意図が、好意的な「受け手」に受け止められると、非常に意味や意義が生まれ、また、価値を見いだせない「受け手」にとっては、それらは何でも無いわけです。
1つ目の例では、ある人はこれは「地球」だ! と感じ、またある人はただの石ころと感じ。2つ目の例では「肉筆文字」と「落書き」。3つ目の例では「意思表示」と「朱い汚れ」。

アート作品にも同じことが言えると思います。興味がないひとには、現代アートはただのガラクタですし、印象派の絵画もキャンバスの上に顔料が乗っただけのモノです。しかしそこ介在する「発信者」と「受け手」の関係性や時代、価値観や嗜好などが重なったときに、「込められた想い」が「伝わる」わけです。とても奇跡的な出来事だと感じるのは私だけでしょうか?

みなさまも、こんな体験をされてみませんか?
each toneの1stプロジェクト「víz PRiZMA」では、無料説明会を定期的に行っております。是非お気軽にご参加ください。

https://www.viz-prizma.com/briefing

【Artists Interview ~藝術の力を社会へ~】

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